2011.1.28ヌートリアまわり通信への寄稿分

デジタルの途中 【文具メーカーのご乱心】 佐藤忠彦
 佐藤忠彦(IAMASラボ4期生、トリガーデバイス社長)

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こんばんは。最近気になったガジェットやサービスに関して書いて行きたいと思っています。
名機「ポメラ」以降、キングジムさんの出してくるモノは微妙で、その微妙さがたまりません。
ポメラをしらない方はこちら。http://www.kingjim.co.jp/pomera/
小さなPCのような外見ですが、メモしかできません。つまりテキストファイルしか扱えません。辞書とかメールもありません。これほど、「…できない」がメリットになっているデジタルガジェットも珍しいですが、これがヒットしました。この「…できない」がツボにハマったのか、そのあとの製品もことごとく単機能です。
■卓上メモ「マメモ」 アラーム付きの手書きメモ。データは取り出せません。
■E-inkボード「ブギーボード」 電子ペーパーの手書きメモ。マメモより書きやすくて大きいけど、データは取り出せません。
■デジタル名刺ホルダー「ピットレック」名刺を認識して蓄えます。それだけです。
電子マネービュアー「リレット」Felicaとかの残金が分かります。それだけです…。
■ポータブルスキャナ「スキャミル」書類をスキャンして見られます。
まだ幾つかありますが、キリがないので。続きはこちら http://www.kingjim.co.jp/products
この製品群から読み取れるのは「デジタル機器とはいえ文房具なんだから、パッと使えなきゃだめ。」という開発意志。結果、独自のハードでデータも取り出せないモノが多いです。
これらの機器はアナログ→デジタルのメリットを享受したものでありながら基本的にPCと繋がらないために、データ共有というデジタル化の本丸にすぐには辿りつけません。そのへんのアンビバレントさが「微妙」という郷愁を誘うのではないかと感じています。なんか憎めません。
と、この原稿を書いていたらアナログなメモをiPhoneを使ってクラウドにアップロードするメモ帳が出たようです。
http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/
そう来ましたか、キングジムさん。直接クラウドにアクセスできる文房具というのはひとつのジャンルになるかもしれません。